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八戸プロジェクト17

17 八戸市 水の流れを電気で返すプロジェクト 成果報告書(NEDO)

① 正式名称
 「八戸市 水の流れを電気で返すプロジェクト」

② 実施事業者
 三菱総合研究所、三菱電機、八戸市

③ 特徴
 下水汚泥消化ガスを燃料としたガスエンジンを主体として、太陽光発電、風力発電及び二次電池を用いた、再生可能エネルギーのみによる発電で構成されるシステム構成。公道に敷設した自営の電線路(自営線)を用いて電力供給を行い、高精度の制御など多くの知見を得た。
 電力・熱供給を集中制御・調整する技術を開発し、6分3%同時同量を達成。需要家は、電力は市庁舎及び小中学校等、熱は終末処理場と分散しており、熱と電力を分離供給することにより、一需要家内では起こりがちな需要と供給における熱電比のミスマッチを回避した。

④ 場所
 青森県八戸市

⑤ システム構成
 ■供給施設:合計
  ・太陽光発電設備:130kW(10kW×3、50kW×2)
  ・風力発電設備:20kW(4kW、8kW×2)
  ・ガスエンジン:510kW(170kW×3)
  ・二次電池:出力±100kW 容量1,440kWh
  ・木質バイオマスボイラ:1.0t/h
  ・消化ガスボイラ:4.2t/h(既設)
 ■需要施設:合計603kW
  ・電力供給:八戸市庁舎本館(契約電力360kW(推計))、江陽小学校(契約電力50kW)、江陽中学校(契約電力49kW)、小中野小学校(契約電力47kW)、小中野中学校(契約電力59kW)、水道企業団旧庁舎(契約電力38kW)
  ・熱供給:東部終末処理場(下水処理場)消化槽の加温
 

図表2-29 実証研究システムフロー(上)と設備写真(下)


⑥ 主な成果
(ア)連系点潮流制御
 ・「連系点における潮流の計画値と実績値の誤差を、6 分移動平均で当該時刻需要に対して±3%以内にする」という目標に対し、最高月で99.98%の滞在率を達成
 ・経済性も考慮した3 階層での需給制御も良好に機能し、二次電池の反応速度やガスエンジンの経済性など、各機器の特徴を生かした変動補償を実施
 ・滞在率での評価に加え周期別での変動分析を実施。特に自然変動電源(太陽光発電)の変動が大きくなる周期における変動残留率(連系点潮流変動/システム内変動)の低さから、自然変動電源の出力変動補償効果の高さを確認
 

図表2-30 連系点潮流の目標数値滞在率
 
図表2-31 周期別の変動
注)平成18年:ただし8~9月は平成19年データを代用


(イ)自立運転
 ・平成19 年11 月3 日午後から10 日午前に渡り、自立運転を実施。周波数、電圧、逆相電流、高調波電圧歪率という各目標を、いずれも余裕をもって達成
 ・10msec 周期で需要変動に対応する「ローカル制御」、ガスエンジンの逆相電流による損傷を防止する「逆相電流補償機能付きパワーコンディショナ」はじめ、自立運転用の諸対策が機能。なお高調波については分析の結果、無対策で実施可能と判断
 

図表2-32 自立運転結果


(ウ)省エネルギーおよび CO2 削減
 ・年間で省エネ率71.3%、CO2 削減率68.9%を達成。最も高い月ではそれぞれが95%以上を記録
 ・導入した設備には全て再生可能エネルギーを用いているため、汚泥消化ガス不足時の購入電力分と、木質バイオマスボイラの運転トラブル時等の代替燃料(A 重油)分のみがエネルギー消費およびCO2 排出量とカウント
 ・冬期は需要が電熱共に高く、汚泥消化ガスが不足がちになること、燃料であるバーク(樹皮)の含水率が高いこと、含水率の高さから木質バイオマスボイラのトラブルが多くなることなどから省エネ・CO2 削減率共に低下
 

図表2-33 省エネ・CO2 削減効果(平成18年10月~平成19年9月)


(エ)連系点潮流制御精度とコストの関係分析
 ・様々な運転ケースを実施し、連系点潮流変動残留率(連系点潮流変動/システム内変動)と制御関連ランニングコストの関係を評価
 ・自然変動電源の出力変動補償対策に、どの程度の社会的価値を認めるかという議論に、有益な示唆を提供可能
 

図表2-34 連系点潮流精度とコストの関係

 

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