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テクニカルライブラリー

その他の事例

▼目次
マイクログリッド高度化系統連系安定化システム実証研究(タイ)
マイクログリッド(高品質電力供給)高度化系統連系安定化システム実証研究(中国)
清水建設における研究事例
東京ガスでの取組事例
産業技術総合研究所での研究事例

マイクログリッド高度化系統連系安定化システム実証研究(タイ)18 19 20

18 四国電力プレスリリース(http://www.yonden.co.jp/press/re0709/j0ypr007.html
19 NEDO ホームページ(http://www.nedo.go.jp/activities/portal/p05016.html
20 「マイクログリッドの需給制御シミュレーションについて」瀧川他、平成20 年電気学会電力・エネルギー部門大会

 このプロジェクトは、NEDOの太陽光発電システム等高度化系統連系安定化技術国際共同実証開発事業により実施されているものである。

① 実施主体
 四国電力(再委託先:四国総合研究所、四電エンジニアリング)

② 実施場所
 タイ王国 ピサヌローク県 ナレスアン大学 再生可能エネルギー技術学部(SERT)

③ プロジェクト概要
 SERTのアカデミックセンターの負荷(20~100kW)を対象に、400V系統において、太陽光発電(120kW)とディーゼル発電(100kW)、蓄電池(150kW/200kWh)の設備を設置し、太陽光発電の比率を全電源容量の50%以上に高めたマイクログリッドを構築。連系用遮断機を開閉することで、マイクログリッドの自立運転/連系運転を切り替えることができる。
 連系運転時の系統影響(電圧・電力潮流の変動など)を極力抑制し、連系点における送受電電力を30分間一定値に保持するよう需給制御を行う(潮流の設定値は一定時間前に通告して変更できるものとしている)運転技術の開発や、電力系統の事故等による自立運転時における、マイクログリッド内の需要先に安定した電力を供給できる制御技術の開発などを実施。

④ 需給制御方法
(ア)自立運転
 ・昼間は太陽光の発電に応じ余剰電力を蓄電池に充電。蓄電池が満充電となると太陽光を出力抑制し、充電レベルが正常になるまで蓄電池によるAFC 運転を行う。
 ・夜間などに蓄電池の充電レベルが下限に達した場合、ディーゼル発電機を起動し、最低出力以上でAFC 運転を行う。低負荷の際には余剰電力を蓄電池に充電。
(イ)連系運転
 ・大学構内との連系線潮流設定値を30分毎に変更し、蓄電池の充電レベルが目標値に近づくよう管理。蓄電池の充電レベルが許容範囲を逸脱する場合の太陽光発電の出力抑制およびディーゼル発電機の起動制御は、自立運転の場合と同じ。
 

図表2-35 マイクログリッドのシステム概要

マイクログリッド(高品質電力供給)高度化系統連系安定化システム実証研究(中国)21 22

21 NEDOホームページ(http://www.nedo.go.jp/activities/portal/p05016.html
22 江崎他、「太陽光発電システムを導入したマイクログリッド需給制御のシミュレーション」、平成20年電気学会電力・エネルギー部門大会

 このプロジェクトは、NEDOの太陽光発電システム等高度化系統連系安定化技術国際共同実証開発事業により実施されているものである。

① 実施主体
 清水建設株式会社(再委託先:株式会社明電舎、中国電力株式会社)

② 実施場所
 中国浙江省 杭州電子科技大学(Hangzhou Dianzi大学)

③ プロジェクト概要
 中国の杭州電子科技大学(Hangzhou Dianzi大学)の構内に、太陽光発電(120kW)とディーゼル発電(120kW)を電源として太陽光発電の比率を全電源容量の50%に高め、また電力品質向上のために二次電池(50kWh)、電気二重層コンデンサ(100kW×±2s)、品質補償装置(100kVA)、瞬低補償装置(100kVA)を採用したシステムを構築している。
 電力系統に連系した場合において、連系運転時、自立運転時における電力供給の安定性の検証として、需給制御装置や二次電池、電気二重層コンデンサを用いた負荷追従の評価や、自立運転時に人工的な変動による電力品質の評価を行う。

④ 需給制御方法
 連系運転時の運転目標は、連系点潮流を一定に保つことである。このため、各分散型電源を用いて応答領域に応じたに出力制御を行う。具体的には、ディーゼルエンジン発電機は、長期的な負荷変動に追従するように、需給制御システムからの指令によって出力調整を行う。電気二重層コンデンサは急峻な変動のみを補償、二次電池は、ディーゼルエンジンと電気二重層コンデンサの補償領域の間の変動を補償する。
 

図表2-36 マイクログリッドのシステム概要

清水建設における研究事例 23 24

23 エネルギー・資源(Vol.29、No.1、2008)
24 沼田他、「都市型マイクログリッドの構築と自立運転制御の開発」、平成20年電気学会全国大会

① 目的
 実用規模のマイクログリッドにおける自立運転時の需給制御システムの開発により、商用電力停止時にも、マイクログリッドからの自立電力供給により電力品質を維持した電力供給を継続できる電源制御技術の実用化を目指す。

② システムの概要
 2004年1月より同社技術研究所にて実証運転開始。太陽光発電、マイクロガスタービン、ガスエンジン、二次電池を組み合わせた合計最大出力79kWのシステムで、統合カスケード制御による負荷追従運転を実現した。2006年7月末からは、さらに天然ガスエンジンコージェネレーション(発電容量合計440kW)を主電源とした発電出力600kW級の都市型マイクログリッドの実用運転を開始している。
 

図表2-37 清水建設マイクログリッドの全体のレイアウト


③ 構成要素
 自立運転を行う対象は、図表2-37の青色の実験棟5棟。分散型電源から各実験棟への電力幹線は6.6kV系で構成され、通常時は商用系統に連系して技術研究所内の全実験棟(12棟、総延面積16千m2)に、電力供給を行っている。自立供給範囲の電力需要は平均的には400kWであり、各種実験装置の起動/停止に伴う50-100kW程度の負荷変動が含まれる。

【設備】
 ガスエンジン350kWおよび90kW、ニッケル水素電池40kW×10時間、電気二重層コンデンサ100kW×充放電2秒、太陽光発電10kW。

【需給制御システム】
 需給制御は、図表2-38に示すシステム構成で行っている。運転計画を需要予測結果に基づき、一日のガスエンジンの発電計画ならびに買電電力を毎日立案、当日の電力負荷の状況を計測しながら運転計画を修正して経済負荷配分制御により発電計画を決定。各計測情報ならびにローカル制御をする電源以外の電源への制御指令は、LANを利用して1秒周期で転送される。

【電源制御方式】
 統合カスケード制御と個別自立制御を開発している。両制御方式ともに、各電源の容量を効率的に利用するため、応答の速さに応じて制御対象となる負荷変動の時間帯域を分担させている。具体的には、負荷変動に対する即時の応答は電気二重層コンデンサに、数秒~数百秒オーダーの対応をニッケル水素に、それ以降をガスエンジンにそれぞれ出力を分担させている。特に統合カスケード制御(図表2-38)の開発に力を注いでおり、自立運転に適用した結果、系統周波数の安定化に大きな効果があるなど効果が実証されている。しかし、LANによる情報伝達の時間遅れが生じるため、負荷変動成分の補償について自立運転で検証している。
 

図表2-38 需給システム(左)と統合カスケード制御(右)の概要


④ 自立運転試験
 LANを利用した情報伝送の時間遅れによる早い負荷変動成分の対応として、応答特性に優れた分散型電源にローカル制御させた統合カスケード制御のシミュレーションおよび実験で有効性を確認している。これを需給システムに実装し、無瞬断で連系→自立への運転移行、約5分間の自立運転、そして連系復帰を試験した。その結果、周波数変動を50±0.2Hzの範囲に抑制することができ、電力品質を維持しながらの自立電力供給が実証された(図表2-39)。
 今後は、太陽光発電などの自然条件により大きく変動する電源の導入割合を50%程度にまで高めたマイクログリッドでの安定した自立電力供給の実証が行われる予定である。
 

図表2-39 デジタル通信網を利用する場合の統合カスケード制御と自立運転結果

東京ガスでの取組事例 25 26 27 28

25 エネルギー・資源(Vol.29、No.1、2008)
26 田上他、「負荷及び多種分散電源の統合制御手法を用いたマイクログリッド自立運転時の電力品質評価」、平成20年電気学会全国大会
27 宮崎他、「集合住宅用マイクログリッドの実証試験と評価」、平成20年電気学会全国大会
28 塚田、「東京ガスにおけるホロニックエネルギーシステムへの取り組み」、日本水素エネルギー産業会議第7回会議、平成19年8月

① 目的
 ガスエンジンや燃料電池などの高効率エネルギー変換効率の導入に加え、太陽光・バイオマスなどの再生可能エネルギーを天然ガスと組み合わせて安定的に利用し、クリーンエネルギーである水素を含む多種のエネルギーを地域内で面的に融通しながら最適に活用する「ホロニック・エネルギーシステム」を提唱し、その実現に向けて東京大学と連携して検証している。また、東芝と集合住宅用マイクログリッドの実証試験も行っている。

② システムの概要
 2006年10月より東京ガス横浜研究所にて実証実験を開始している。すべての分散型電源がインバータによる系統連系方式であり、充放電コンバータと無停電電源装置は直流リンクで同一の蓄電池を共有している。また、電力負荷を高品質/中品質/一般と3種類に分類し、変災時を想定した品質別電力供給も検証可能なように配慮している。負荷は電灯、空調機、エレベータ。
 

図表2-40 マイクログリッド実証試験設備


③ 構成要素
【設備】
 自立運転対応小型ガスエンジンコージェネレーション25kW(GE2)、自立非対応型小型ガスエンジンコージェネレーション25kW(GE1)・9.9kW(GE3)、太陽光発電10kW(PV)、風力発電6kW×2 台、鉛蓄電池196Ah、ニッケル水素電池392Ah、充放電コンバータ71kVA(PCS)、無停電電源装置50kW(UPS)、デマンドサイトコントローラー(DSC)、三重効用吸収式冷温水器

【制御システム】
 需給計画機能を担うオフラインサーバと需給監視制御を担うオンラインサーバの2台のサーバで構成され、需要予測→運用計画→監視制御の工程を毎日行っている。オフラインサーバは、過去の需要データから翌日の需要予測を行い、翌日の分散型電源の運用計画を策定する。

【実証試験】
 これまで「受電電力一定制御(同時同量評価)」、「電圧制御による系統貢献」、「自立運転時の電力品質評価」などの実証試験が行われている。
 受電電力一定制御の試験では、平日の5日間連続運転した結果、ガスエンジンと蓄電池(PCS)の併用により、評価時間1分において概ね±3%の同時同量精度を達成した。電圧制御による系統貢献に関する試験では、マイクログリッド試験設備の無効電力制御による配電線電圧の変動抑制効果が、実験およびシミュレーションにより確認された。自立運転時の電力品質評価については、PVおよび電力負荷の変動に対してGEが十分な追従性能を発揮し、電圧・周波数の品質に問題なく運転可能であることが実証された。
 また、出力変動の大きい自然エネルギーを自立運転に有効に活用する手法として、分散型電源制御とデマンドサイド制御(負荷制御)を組合せた自立運転制御手法を提案し、実証試験を行っている。提案手法は3つの制御ロジックから構成されており、それらは「複数電源パラレル制御」、電力需要状況に応じて特定負荷の運転のON-OFFを行う「デマンドサイド制御」、「蓄電池SOC マネジメント制御」である。これらの3つの制御ロジックを組み合わせた統合制御ロジックに基づく自立運転試験の結果、いずれのロジックも正常に作動し、良好な試験結果が得られている。
 

図表2-41 統合制御ブロック図

産業技術総合研究所での研究事例 29 30

29 エネルギー・資源(Vol.29、No.1、2008)
30 安芸他、「住宅地における分散型エネルギーネットワークの構築」、平成20年電気学会全国大会

① 目的
 個別分散型システムや小規模エネルギーネットワーク(ローカルエリアネットワーク)と基幹系統との協調の実現を目指して、集合住宅を対象として大阪ガスと共同研究を行っている。

② システムの概要
 2007年度より、大阪ガスの実験住宅NEXT21(集合住宅、18戸)の一部にて燃料電池コージェネレーションおよび電気・熱・水素によるエネルギーネットワークによる実証試験を行っている。2007年度の春、夏、秋、冬の各季節の一定期間(1週間ないし10日間)、集合住宅の一部(6戸、3階2戸、4階4戸)を戸建住宅と集合住宅とに想定して実験を行っている(図表2-42、図表2-43)。
 

図表2-42 戸建(左)と集合住宅(右)実証実験のシステム構成
 
図表2-43 実証試験のシステム構成の概念の違い


③ 構成要素
【設備】
 純水素駆動のPEFC(定格発電容量700W、定格時の発電効率・排熱回収効率共に40%)と貯湯槽の組合せを3台(3階1台、4階2台)設置。屋上に都市ガス改質による水素製造装置を設置し、パイプシャフト内にPEFC 用水素配管を敷設。集合住宅内に水素配管を敷設し燃料電池を設置してネットワークを構成し、エネルギー融通を行う。

【実証実験】
 比較のために燃料電池を用いない状態(電気事業者からの購入電力+ガス給湯器)における一定期間のエネルギー需要を計測し、次に、戸建住宅、最後に集合住宅を想定した試験をそれぞれ一定期間行った。戸建住宅を想定した試験では2台の燃料電池は各々特定の2戸の住宅に電力と温水とを供給するものとして、燃料電池は各2戸の電力需要に追従するよう制御し、集合住宅を想定した試験では3台の燃料電池で6戸の電力需要合計に追従するよう制御した。各住宅の電力消費と給湯需要(温水流量と温度)を2秒間隔で需要計測している。
 電力需要が燃料電池の発電容量(合計1.4kW)以下である時間帯には、燃料電池はほぼ電力需要に追従して制御されており、秋季に行った実験結果(図表2-44)では電力需要全体の約70-80%が燃料電池から供給されている。給湯需要については、2台の貯湯槽のうち1台の貯湯レベルおよび当該貯湯槽から供給される2戸の住宅の給湯需要とガス給湯器による供給量を示しているが、戸建住宅を想定した試験で給湯需要の約80%が燃料電池からの排熱で賄われたが、集合住宅を想定した試験では給湯需要が大きかったため約50%に留まり燃料電池からの排熱では不足する。
 集合住宅向けシステムは戸建住宅向けシステムと比較して配管ネットワークの敷設工事が容易なため、より早期の実用化が可能と考えられている。戸建住宅向けシステムは、技術開発と平行してシステムの導入・管理・運営を行うためのビジネスモデルを構築する必要があるとしている。
 

図表2-44 戸建住宅実験結果の例(秋期のある一日) 左:電力需給(4戸分)、右:給湯需要(2戸分)

 

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