• HOME > ライブラリー > テクニカルライブラリー『マイクログリッド/日本で導入した3つのマイクログリッドプロジェクトまとめ(愛知プロジェクト)』

テクニカルライブラリー

愛知プロジェクト15

15 2005 年日本国際博覧会・中部臨空都市における新エネルギー等地域集中実証研究に係る委託業務 実証研究報告書(NEDO)

① 正式名称
 「2005 年日本国際博覧会・中部臨空都市における新エネルギー等地域集中実証研究」

② 実施事業者
 中部電力、トヨタ自動車、NTT ファシリティーズ、日本ガイシ、三菱重工業、京セラ、日本環境技研、愛知県、財団法人2005 年日本国際博覧会協会

③ 特徴
 愛知万博会場内の日本館等の一定地域において、メタン発酵ガスや高温ガス化ガスを活用した燃料電池を主体とし、太陽光発電を組合せ、二次電池にはNaS 電池を用いたシステムによるマイクログリッド供給の実証研究を実施。万博のテーマの「自然の叡智」やサブテーマの「循環型社会」を具現化する取組であり、実証研究の内容を全世界へと発信した。
 また、地域内における万博の理念継承として、万博終了後には中部国際空港近接部の中部臨空都市に移設し、実証研究を継続した。

④ 場所
 2005 年日本国際博覧会会場(愛知万博)、万博終了後は愛知県常滑市の中部臨空都市

⑤ システム構成
(ア)博覧会会場
 ■供給施設
  ・メタン発酵ガス利用溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC):発電容量270kW
  ・高温ガス化ガス利用溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC):発電容量300kW
  ・りん酸形燃料電池(PAFC):発電容量800kW(200kW×4基)
  ・固体酸化物形燃料電池(SOFC):発電容量25kW
  ・NaS電池(蓄電池)システム:入出力容量500kW
  ・太陽光発電システム1(アモルファス型):発電容量100kW
  ・太陽光発電システム2(多結晶シリコン型):発電容量200kW
  ・太陽光発電システム3(単結晶シリコン型両面受光):発電容量30kW
  ・メタン発酵システム(原材料 生ごみ):処理能力4.8t/日
  ・高温ガス化システム(原材料 木質・廃プラチップ):処理能力20kg/h
  ・エネルギー需給制御システム
 ■需要施設
  ・電力供給:長久手日本館、コモン5(NEDO パビリオン等)
  ・熱供給:コモン5(NEDO パビリオン等)、西管理棟
 

図表2‐15 博覧会会場のプラントのシステムフロー(上)と全体配置(下)

(イ)中部臨空都市
 ■供給施設
  ・メタン発酵ガス利用溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC):発電容量250kW
  ・高温ガス化ガス利用溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC):発電容量270kW
  ・りん酸形燃料電池(PAFC):発電容量800kW(200kW×4基)
  ・固体酸化物形燃料電池(SOFC):発電容量25kW
  ・NaS電池(蓄電池)システム:入出力容量500kW
  ・太陽光発電システム1(アモルファス型):発電容量100kW
  ・太陽光発電システム2(多結晶シリコン型):発電容量200kW
  ・太陽光発電システム3(単結晶シリコン型両面受光):発電容量30kW
  ・メタン発酵システム(原材料 生ごみ):処理能力4.8t/日
  ・高温ガス化システム(原材料 木質・廃プラチップ):処理能力20kg/h
  ・エネルギー需給制御システム
 ■需要施設
  ・電力供給:常滑市役所、常滑浄化センター
  ・熱供給:プラント内、常滑浄化センター
 

図表2-16 中部臨空都市のプラントのシステムフロー(上)と全体配置(下)


⑥ 主な成果
(ア)実証研究区域内に新エネルギー等集中実証研究システムを構築
 ■実負荷を対象としたマイクログリッド設備を構築
  博覧会会場の展示施設などの実需要に対応し、供給側と需要側をネットワーク化し、自然エネルギーを含む発電設備・熱供給設備により地域内の電力や熱を供給するマイクログリッドの供給システムを構築
 ■エネルギー制御による系統への影響を極小化するシステムを構築
  太陽光発電の発電電力変動や需要家の負荷変動に対応し、NaS 電池による充放電や燃料電池制御を行い、系統への影響を極小化するシステムを構築
 ■地域循環型のエネルギーシステムを構築
  博覧会会場や、地域から発生する生ごみ・廃プラなどからバイオマス燃料を作り、燃料電池を活用して、地域内の施設へ電力・熱を還元する地域循環型のエネルギーシステムを構築

(イ)自然変動電源を含むマイクログリッドの制御技術の検証
 ■系統連系時の需給制御の検証
 □30分同時同量(図表2-17参照)
  ・中部臨空都市にて30 分時間帯別平均・契約電力相当比±3%(計測周期60 秒)を滞在率99.6%で実現(万博:99.5%)
  ・10分、15分と同時同量評価時間を短縮しても、概ね30 分の評価と同程度の制御精度(±3%の滞在率99%以上)を実現
  ・1~2週間に1回の頻度で実施するNaS 電池完全充電実施日において、同時同量偏差が拡大する傾向にあることを確認
 □マイクログリッド連系点潮流(図表2-18参照)
  ・マイクログリッド内で各発電設備の出力を適切に制御することで、太陽光発電の出力に起因する変動をマイクログリッド連系点で抑制。連系点潮流をほぼ一定にすることで商用系統の負荷平準化に貢献することを実証
  ・負荷変動と太陽光発電出力変動を重畳した変動(マイクログリッド化しない場合の変動)に対して、マイクログリッド連系点潮流の変動は、変動周期約60秒以上の時間領域で縮小することを確認
  ・マイクログリッド連系点潮流の短時間の変動(数十秒未満)は燃料電池等のプラント補機電力に起因することを確認
 􀂄自立運転試験の検証(図表2-19、図表2-20参照)
  ・自立運転試験期間:20日間(万博:H17.9.30~10.19)、約6 時間(臨空:H19.9.17 の10:30~16:00)
 □設備容量330kW の全太陽光発電を連系(万博:10kW分のみ)
  ・最大発電電力は220kW(3システム合計)を記録
  ・自立運転において、PV1(約70kW発電中)のパワーコンディショナーシステムのon/off による出力変動をPAFCとNaS電池で吸収することを確認
 □電圧調整能力の向上
  ・NaS電池によるPAFC送電端変動抑制制御を実施。また、連系用PAFCの無効電力調整による電圧調整を実施、検証
 □ソフトスタート時間を2秒に短縮(万博:15秒)
 □起動時に外部電源を使用せずに、自立運転を開始
 

図表2-17 同時同量偏差に関する基本統計量と滞在率
 
図表2-18 マイクログリッド連系点潮流の変動抑制効果(2006年9月21日)
 
図表2-19 NaS電池によるPAFC送電端変動抑制
 
図表2-20 自立系統電圧の相対度数分析

 

(ウ)バイオマス・燃料電池技術等の最新エネルギー技術の実証運用
 ■生ごみ利用のメタン発酵と、木くず・廃プラの高温ガス化技術の検証
  地域の生ごみをメタン発酵によりメタンガス化。ペットボトル等を高温ガス化により燃料転換を行い、循環型エネルギー技術の実証運用・検証を実施
 ■都市ガス・バイオマス製造燃料を活用した MCFC技術の実用検証
  上記のバイオマスガスを活用するMCFCでは、発電出力やバイオマス燃料の利用検証、各種運用試験を実施。この結果、国産MCFCの運転時間記録を更新し、このクラスの発電設備として非常に高い発電効率を達成。PAFC は負荷変動に合わせた追従運転を実施し、調整用電源として同時同量制御・自立運転に貢献。SOFCは次世代型燃料電池として実用検証
 

図表2-21 バイオマス設備(上)と燃料電池等(下)の実証データ


(エ)新エネルギーシステムの環境性評価
 ・博覧会会場では実績データおよびシミュレーションによる評価、中部臨空都市では、冬期・夏期に環境性試験期間を設け、新エネルギープラントの環境性(CO2削減効果)を確認
 ・燃料電池の技術的課題(安定性・信頼性・耐久性)から全期間を通じた環境性には課題を残した
 

図表2-22 環境性評価の実証データ


(オ)新エネルギー、環境に関する社会への普及・PRに貢献
 ・博覧会会場では、プラントの見学ツアー参加者は30,290名にのぼった。中部臨空都市における見学者も4,410名となり、内外へのPRに貢献
 ・講演会、シンポジウム、雑誌や新聞記事などを通じ、新エネルギーや環境に関する社会への情報発信を実施
 

図表2-23 博覧会会場NEDOパビリオンにおける展示(左)と新エネツアーの様子とデータ展示システム(右)

 

  NEXT >>> 京都プロジェクト