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GSGFが世界各国のマイクログリッド最新動向について白書を公開

 JSCAが加盟している国際的なスマートグリッド推進団体、Global Smart Grid Federation(GSGF)が、2017年8月8日、世界各国のマイクログリッド最新動向についてまとめた白書「マイクログリッドの最新状況、実証から商用化へ」を発行しました。

 本白書では、アメリカ、カナダ、フランス、イスラエル等で実施されているマイクログリッドの実証事業から得られた知見に基づき、マイクログリッドの多様な機能や商用化の課題を明らかにし、それらを克服する方法を考察しています。重要な結論のひとつとして、マイクログリッドのビジネスモデルを成立させる制度的な枠組みの改定と継続的なコスト削減によって、マイクログリッドの商用化が進むとしています。

 

GSGFのプレスリリース(英語)

http://www.globalsmartgridfederation.org/2017/08/07/microgrids-from-pilot-to-commercial-deployment/

GSGFマイクログリッド白書(英語)「マイクログリッドの最新状況、実証から商用化へ」(PDF)

 

 白書の内容をわかりやすく紹介するウェブ連載「最新の白書にみるマイクログリッド最前線」が、日経テクノロジーオンラインで始まりました。

GSGFのマイクログリッドワークグループ(WG)で議長を務めた渡邉JSCA事務局長(NEDO渡邉理事)が解説する全2回の連載です。

前編では、マイクログリッドの必要性やその機能、GSGF WGメンバー国で実施されたケーススタディについて整理しています。
後編は、マイクログリッドの商業化に向けた課題や、ブロックチェーンなどIT技術等を用いた対応策について解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

 

▼ウェブ連載「最新の白書にみるマイクログリッド最前線」
前編: 世界で動き出すマイクログリッド、革新的ビジネスモデル続々
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/080300120/00001/
後編: 商業化に向けた課題、ブロックチェーンなどIT技術で解決
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/080300120/00002/
※記事全文を読むには、無料会員登録が必要です。

 

 

国際組織Global Smart Grid Federation(GSGF)とは?

 GSGFは、主に民間の関係者がスマートグリッドの発展と普及を目として世界的に連携していくための母体として、 米国GridWise Alliance が中心となり2010年に発足しました。JSCAは発足当初から加盟しています。

 GSGF内では ワークグループ活動が行われており、その中の1つであるマイクログリッドワークグループ(Microgrids Working Group)はJSCAが議長として活動をリードし、計9か国の参加メンバーとコミュニケーションを深めながら、各国の取り組み状況に関する情報共有などを行い、このたび約1年にわたる活動の成果として白書を発表しました。

 

マイクログリッドワークグループ メンバー国:

日本(JSCA)、カナダ、ベルギー、イスラエル、インド、フランス、韓国、スウェーデン、アメリカ

 

Global Smart Grid Federation (GSGF)

 

白書の概要: マイクログリッドに求められる機能、商業化への課題と解決策

 普及が進む太陽光発電や風力発電などの分散型電源は、天候等の自然条件に左右され、安定的な電力の供給が難しく、電力網に微細な変動を引き起こします。しかし、従来の運用システムは、そのような問題に対応するように設計されていません。そこで、マイクログリッドの活用が解決策となります。マイクログリッドは、様々な蓄電機能や負荷制御によって、再生可能エネルギーによる変動を地域レベルで管理します。これにより、変動する再生可能エネルギーが大量に電力系統に導入された際に、需給バランスを効率よく維持することが可能となります。

 

 本白書では、マイクログリッドは消費者と系統運用者の双方に多くの価値をもたらすとしています。消費者側では、再生可能エネルギーの普及やCO2の排出量削減、サイバー攻撃や自然災害時におけるレジリエンスの向上、太陽光発電の自家消費の拡大、継続的な電力供給、そして電気料金の削減などです。一方、系統運用者側にとっては、系統運用における課題を改善し、配電設備への投資や高度化に必要なコストの削減につながります。

 

 マイクログリッドに対する期待が高まる一方、実際の運用はまだ実証段階にあります。主な課題は資金面にあり、世界各地で行われている事例の殆どは補助金によって運用されています。商用規模で展開するためには、マイクログリッド技術のコストダウンによる経済性の改善とビジネスによる収入の増加が必要です。

 

 しかし近年、再生可能エネルギーのコストダウンが急速に進み、マイクログリッドの経済性も改善されつつあります。例えば、モジュール式または拡張可能なマイクログリッドシステムの出現など、マイクログリッドやシステム統合のコスト削減に向けた取り組みが行われています。制御技術や通信技術の標準化も進行しており、様々なベンダーによるマイクログリッドシステムの構築が可能になり、コスト競争も激しくなることが予測されます。今後はブロックチェーン技術を使用したマイクログリッド内の電力のP2P(Pear to Pear)取引が、マイクログリッドのコストダウンを更に推進すると考えられます。

 

 同時に、マイクログリッドのビジネスモデル開発を支援する、制度改革の必要性はさらに高まっています。特に、マイクログリッドの所有権について、どのような所有者や運用者が認可されるのかを明確にすることで、所有モデルも開発されていくでしょう。また、マイクログリッドが提供するサービスや価値は正式に評価され、対価が支払われるべきです。例えば、マイクログリッドが様々な電力市場に参加できるようになる仕組みなどです。収入源が明らかになれば、マイクログリッド事業に伴うリスクは軽減され、資金調達がしやすくなると考えられます。

 

 マイクログリッドの商用化の課題は、コストの高さとビジネスモデルがまだ明確でないことにありますが、コスト削減努力の進行や制度改革によってビジネスモデルの構築が促進され、マイクログリッドは実証段階から本格的な商用段階へと発展していくと本白書では述べています。

 

白書の目次

1.マイクログリッドの必要性(導入)

2.マイクログリッドの現状

3.ケーススタディ

  ロスラモス マイクログリッド(アメリカ)

  ニースグリッド(フランス)

  マーラギルボア マイクログリッド(イスラエル)

  パワーハウス マイクログリッド(カナダ)

  ペネッタンギシェン マイクログリッド(カナダ)

  マーカス・ガーベイ マイクログリッド(アメリカ)

4.マイクログリッド推進にむけた提言

5.結論