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テクニカルライブラリー

¶ テーマ4 スマートグリッドにおけるエレクトロモビリティ

     (GSEF白書の公開)             

はじめに

11の国と3つの国際機関が加盟する国際的なスマートグリッド推進団体であるGSEF (Global

Smart Energy Federation) では、活動の成果をまとめた白書をリリースしています。

本内容は、スマートグリッドにおけるエレクトロモビリティに関する白書の内容のサマリーを

解説するものです。本内容にご興味を持った方は、ぜひオリジナルの白書もご一読ください。

 

▼目次

1    エレクトロモビリティ:展開
  1.1    世界およびGSEF加盟国におけるEV・PHEVの普及状況
  1.2    EVの航続距離
  1.3    充電インフラ
  1.4    公共充電施設の普及に向けた公共政策
2    エレクトロモビリティ:電力系統への影響と参入機会
  2.1    EV充電のエネルギー・電力需要
  2.2    送配電網
    2.2.1    一般的な問題
    2.2.2    EVの影響
  2.3    フレキシビリティの可能性
  2.4    ケーススタディ
3    エレクトロモビリティ:フレキシビリティの活用と価値化
  3.1    基準と相互運用性
  3.2    技術的要件
  3.3    分散型資源:分散型フレキシビリティ活用におけるアグリゲーターの役割
  3.4    価値化の機会と市場種別
  3.5    市場設計の進化
  3.6    国の規制機関の位置付け
4  エレクトロモビリティ:実証プロジェクト
  4.1 フランスのプロジェクト
    4.1.1 BienVEnu
    4.1.2 GridMotion
    4.1.3 aVEnir
  4.2 日本のプロジェクト
  4.3 米国のプロジェクト
    4.3.1 スクールバス
    4.3.2 デラウェア大学
  4.4 英国のプロジェクト
    4.4.1 Bus2Grid
    4.4.2 E4future
5  スマートグリッドにおけるエレクトロモビリティ:提言

 


概要


これまでに数々の温室効果ガス排出削減目標が設定されてきた結果、エネルギー分野とモビリティ
分野ではそれぞれ再生可能エネルギー資源の開発と低炭素モビリティの開発が進んでいる。低炭素
モビリティの開発とは、すなわち蓄電池式電気自動車(EV)による全電動モビリティの展開である。
再生可能エネルギー資源とEVは電力系統に対して様々なスケールで影響を与え、慣性力の低下や、
不確実性を補うために必要な予備力の増大、さらに(主に配電網において)混雑や電圧の問題などを
引き起こす。したがって、現在の電力グリッドがより大きな分散型貯蔵能力(蓄電池、熱慣性等)を
備えたフレキシブルなスマートグリッドへ進化していく上で、再生可能エネルギー資源とEVが果たす
役割は大きい。自動車はほとんどの場合駐車場に止められていることを考えれば、電力グリッドを
最適化して過大な投資費用の発生を防止する方策として、G2V(grid-to-vehicle)用途(負荷

シフト・負荷調整)やV2G(vehicle-to-grid)用途(電力・エネルギー貯蔵)での車載蓄電池活用を

検討すべきである。


世界各国の配電系統はすべて等しく構成されているわけではなく、国や都市の比較を行う際には
この相違がしばしば問題となる。開発途上国だけを見ても、「システム強度」には大きな幅がある。
アーキテクチャや設計、中圧系統運用上の想定は様々であり、一般化することはできない。


スマート充電とV2Gの概念は、いずれも米国デラウェア大学の研究チームにより1990年代後半に導入
された(注)。膨大な数のEVが同時に充電されるのを防ぐ手段としてスマート充電の実現が不可欠で
あることは今日すべての関係者が合意するところだが、車載蓄電池をバーチャルな分散・定置型
電力貯蔵装置と捉えると、さらに多くのことが可能になる。アグリゲーターの制御下で車載蓄電池を
活用すれば、1)(電圧や混雑等の)制約緩和や予備力増強を目的とした系統運用者(DSO・TSO)
向けのサービス、2) 建物におけるV2B(vehicle-to-building)、および3) 家庭におけるV2H
(vehicle-to-home)等、規模の異なる様々なサービスを提供できるだろう。ただし、これらの
グリッドサービスに効果的に参入できるのは、充電サイクルが長い車両のみであることに留意する
必要がある。高出力急速充電器の利用等により車両の充電サイクルが短い場合、上記アンシラリー
サービスに活用される可能性は低い。


EVを本格的に普及させるためには、充電インフラの設置密度を高めて航続距離不安症(range
anxiety)の問題に取り組むとともに長距離移動を実現する必要がある。後者については、テスラ社
EVの販売開始以降、急速充電スタンド(FCS)の配備に関する発表が相次ぎ、欧州を中心とした
急速充電網コンソーシアムのIonityは、出力350キロワットの充電器の設置計画を発表した。
このような高出力充電器の出現によって、電力グリッド強化の必要性が今後高まると考えられる。


一般的な観点から見て、電力系統へのEV統合には、技術的課題(制約の軽減とフレキシビリティの
活用)、経済的課題(EVに組み込まれた蓄電池の価値査定)、規制面の課題(適切な基準と市場
ルールを通じた価値化の実現)がある。


本レポートの狙いは、変革途上にある電力系統へのエレクトロモビリティ大規模導入の実現に向けた
科学および産業上の諸課題を提示することである。本レポートの最終部では、EV統合とV2Gの発展を
促進するソリューションの提案と検証を目的とした近年の実証プロジェクトを紹介する。


白書全文は、下記より参照願います。

<http://globalsmartenergy.org/report/category/21>

 

(注) W. Kempton, S.E. Letendre, (1997) “Electric vehicles as a new power source for
        electric utilities”,